Kekeの日記

エンジニア、読書@1915keke

綿矢りさ「蹴りたい背中」が読みたくなる痺れるフレーズ集

自分が2017年読んだ小説の中でトップ3に入るくらい面白かったので紹介します。 「いまさら?」って思うかもしれませんが、大人になってから読むと何倍も楽しめたので、ぜひ皆さんにも読んでみてほしいです。

蹴りたい背中 (河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)


綿矢りさとは

Wikepediaによると、綿矢りささんは京都府京都市生まれです。 現在(2017年12月時点)で33歳です。早稲田大学教育学部国語国文科卒業です。

彼女が一躍有名になったのは「インストール」でで第38回文藝賞受賞してからです(当時17歳)。その二年後にこの記事で取り上げる「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞して、ミニオンセラーになるなど反響を及びました。

「蹴りたい背中」とは

周りの人間とどうも自分は違う生き物のように感じる主人公が、同級生のオタクであるにな川との交流を沸き立つ、淡い青春を描いています。 この本は、2003年、当時著者が在学中には単行本が刊行されて、第130回芥川龍之介賞を受賞しました。

あらすじ

理科の授業で仲間外れにされたハツは、同じ班のにな川が読んでいる女性ファッション誌のモデル(オリチャン)に目がとまる。ハツは中学生のとき、隣町の無印良品でオリチャンに会ったことがあり、そのことを言うとにな川は興味を持つ。放課後彼の家に呼ばれ、そこでにな川がオリチャンの大ファンであると知る。後日ハツはにな川に頼まれ、オリチャンと会った無印良品へ向かう。そしてにな川の家で休憩する二人だったが、ハツはオリチャンのアイコラ(にな川作)を見つける。ハツは異様な気分になり、にな川を後ろから思い切り蹴り倒す。

その後、にな川が学校を4日間休む。不登校ではないかと言われるも、ハツはにな川の家にお見舞いに行く。実はにな川は徹夜でオリチャンのライブのチケットを取ったため、風邪を引いたのだった。にな川はチケットを4枚買っており、ハツは誰か呼んで一緒に行こうと誘われる。友人は絹代しかいないので、仕方なく絹代を誘って3人でライブに行く。絹代がハツに「にな川はいい彼氏なんじゃないか」「ハツはにな川のことが本当に好きなんだね」と言うが、ハツは「自分の気持ちはそうじゃない」と思っていた。

ライブから帰ると、バスはもう出ていなかった。仕方なくハツと絹代はにな川の家に泊まる。ハツはよく眠れず、ベランダでにな川と話をする。にな川が「オリチャンを一番遠くに感じた」と言ってハツの方を背にして寝転がると、ハツはにな川の背中を蹴ろうとする。指が当たったところでにな川が気づくが、ハツは知らないふりをする。(wikipedia)


読みなるフレーズ

私が勝手ながら、印象だった描写を列挙します。

  • 書き出し

      さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、 私はプリントを指で千切る。 細長く、細長く。紙を裂く耳障りな音は、孤独の音を消してくれる。気怠げに見せてくれたりもするしね。葉緑体?オオカナダモ?ハッ。っていうこのスタンス。

  • 理科の実験で、自分の椅子が余り物の華奢ないすだった時

    余り者には余り物がしっくりくるのだ。いじめじゃない、ごく自然なことなんだ。

  • はじめてにな川に抱く違和感

    味噌汁の、砂が抜けきっていないアサリを噛みしめて、じゃりっときた時と同じ、ものすごい違和感が一瞬に通り過ぎていく。

  • 友人の友達グループのトランプに誘われて

    どうしてそんなに薄まりたがるんだろう。同じ溶液に使ってぐったり安心して、他人と飽和することは、そんなに心地いいもんなんだろうか。私は余り者も嫌だけど、グループはもっと嫌だ。

  • 陸上の部活動をしているときに思った顧問に対して

    人間に囲まれて先生が舞い上がる度に、生き生きとする度に、私は自分の生き方に対して自信を失っていく。

  • モデルであるオリチャンの雑誌を貪るように読むにな川に対して

    あんなに健康的なものを、よくこれだけ卑猥な目で見られますね。

  • ふと学校で誰にも気にすらされていないことを想って

    学校にいる間は、頭の中ですっと一人でしゃべっているから、外の世界が遠いんだ。

  • 最後ににな川の背中を蹴るハツ

    川の浅瀬に重い石を落とすと、川底の砂が立ち上がって水を濁すように、"あの気持ち"がそこから立ち上がってきて心を濁す。

まとめ

この本の描写は本当に面白くて、読みやすいです。

高校生のときに抱いてた無力感や淡い青春をストレートに描いています。 この冬休みに読んでみてはいかがでしょうか。

最後に好きなフレーズを。

話のネタのために毎日を生きているみたいだった。とにかく"しーん"が怖くて、ボートに浸水してくる冷たい沈黙の水を、つまらない日常の報告で埋めるのに死に物狂いだった。


おすすめの綿矢りさの他の作品

インストール(2001年)

インストール (河出文庫)

インストール (河出文庫)

夢を与える(2006年)

夢を与える (河出文庫)

夢を与える (河出文庫)

かわいそうだね(2012年)

かわいそうだね? (文春文庫)

かわいそうだね? (文春文庫)